スタッフブログ

2015年11月16日 月曜日

実態調査|オーバージェット、オーバーバイト

これまで歯科疾患に関する実態調査(叢生=デコボコと空隙=空き歯)に関して書いてきましたが、今回はオーバージェット、オーバーバイトに関しての実態調査をご紹介します。


オーバージェットとは、上の前歯と下の前歯の前後の位置関係を表します。上顎前歯が前に出ている程度が大きくなればなるほどオーバージェットの数値が大きくなります。食べ物を噛み切ることが困難になり、上顎前突、出っ歯といわれます。

オーバーバイトというのは、上下の噛み合わせの深さを表します。正常な咬合でも少し下顎前歯に上顎前歯が被さっていますが、下顎前歯が見えないほど被さってきている場合もあります。このように深すぎるかみ合わせをディープバイト(過蓋咬合)と呼びます。また逆に本来被さっていなくてはならないものがまったく被さらず、開いているという場合もあります。これをオープンバイト(開咬)と呼びます。開咬の方は、前歯で食べ物を咬み切ることが出来ません。


それぞれの症状に該当する人がどれくらいの割合でいるかの調査を厚生労働省が行い、歯科疾患実態調査として公表しています。


■オーバージェット:対象12~20歳 合計209名

4㎜以上のオーバージェット=71名(そのうち27名が6㎜以上)

約3分の1の方がオーバージェットということがわかります。6㎜までくると前歯でものを噛み切ることが大変困難になってしまい、見た目だけが少し出っ歯ということではなく、日々の生活に支障が出てきてしまいます。


■オーバーバイト:対象12歳~20歳 合計194名

4㎜以上=35名
‐0.5㎜以上=9名
‐4㎜以上=3名

約5名に1人およそ20%がディープバイト(過蓋咬合)です。マイナスは噛み合わさっていないということを表しているため、オープンバイト(開咬)の方も6%ほどいることがわかります。


今回ご紹介したオーバージェットとオーバーバイトの数字は、上あごと下あごの前後関係、上下関係を表しているため、叢生のように凸凹しているという見た目ですぐにわからない場合もあります。どちらかというと食べ物を噛む際の機能に支障が出ているかどうかの物差しになります。数値が大きければ出っ歯など見た目でわかりますが、意外に測ってみて見えてくる歯並びの状況もあります。今回のように12歳から20歳までの調査で表しているように、子供の舌癖からくる口腔内の状態に早く気づくことは大切かもしれません。

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2015年11月 6日 金曜日

日本に住む外国人が持つ日本人の歯並びに対するイメージ

今日は日本に住む外国人100名に行ったアンケート調査の結果をご紹介します。調査したのは、インビザラインというマウスピース矯正を扱う企業が行ったものです。

今回の調査は外国の方から見た率直なイメージがシンプルに報告されており、かなり興味深い結果でした。


■日本人の歯並びに対する印象は?

①良い  4%

②ふつう 20%

③悪い  76%


何と8割近くの方が日本人の歯並びに対する印象が悪い、という結果が出ていました。以前書いた八重歯に対する海外と日本とのイメージの違いのような、文化的な違いを考慮に入れたとしても、8割という数字は大きいのではないでしょうか。

「悪い」と回答された方のコメントでは、「健康意識が高い日本人が、歯並びに対する意識が低いことは驚き」というものや、「ビジネスのシーンにおいて歯並びの印象はとても重要になるから、もっと気を遣ったほうが良い」という意見などがあったそうです。


この調査は1000人規模の調査ではないので、データの正確性に関しては判断しかねますが、少なくとも良いイメージを持たれているわけではないのは確かだと思います。特に英語圏など、英語の発音と歯並びが密接な関係を持っているということは以前ここでもご紹介しましたが、最近では英語の発音の問題から矯正治療をされる方が増えてきているのも事実です。下顎前突(反対咬合・しゃくれ)や上顎前突(出っ歯)、オープンバイト(開口)、空き歯など、多くの歯科矯正が必要とされる症状では、「th」の発音をはじめうまく発音することが出来ません。

上記コメントの中に、見た目の印象がビジネスに影響を与えるということがありましたが、発音に関してもとても大切な要素になることから、海外転勤や、留学に行かれる方に歯科矯正治療が大きく役立てられると改めて感じました。

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2015年10月21日 水曜日

上顎前突を子供のうちに治すメリット

今までに見た目の改善に意識が向きやすい上顎前突(出っ歯)に関して、指しゃぶりなどの日々の習慣が原因のもの、骨格性のものと種類があることをご説明しました。また上顎前突からくるトラブル、虫歯や歯周病などにつながるリスクに関してご紹介しました。


今回は子供のうちに上顎前突を治すメリットをお伝えしたいと思います。


① 指しゃぶりなどの生活習慣から起こる上顎前突

歯は弱い力でも動くということは以前お伝えした通りです。指しゃぶりなどの力が継続的に歯に加わることでも上顎前突になる場合があります。この場合の上顎前突治療は歯並びを治すだけでなく、そういった癖を同時に治していく必要が出てきます。ブラケット(矯正装置)を外した後の保定装置期間において、後戻りを起こさないためにも、もともと上顎前歯が前に出る原因となっていた癖を若いうちに治すことが長期での安定につながります。大人になってからでは癖を治せないということはありませんが、子供のうちの方が習慣を変えやすかったりします。

②骨格性上顎前突

骨格性の上顎前突とは、簡単に言うと上下の顎の大きさの違いによるもの、噛み合わせのズレによるものなどを指します。歯並びだけでなく、顎の骨に関係しているため、子供のうちに治すメリットとしては、顎の成長をある程度コントロールしながら矯正治療を行える点です。

どちらの原因の場合も、子供から治療を開始することで永久歯列で抜歯することなく治療を完了できる可能性が大きくなります。



後戻りのリスクを下げること、骨の成長を考えての歯列矯正を行うことに関しては、実は下顎前突(受け口・しゃくれ)や叢生(デコボコ)においても、同じように考えられます。ただ、注意しなくてはならないのが、だからといって必ずしも全て子供のうちに矯正治療を開始しなくてはいけないということもありません。患者さんそれぞれの成長度合い、歯の並ぶスペース、親知らずの生えようとしている向きなど、様々な観点から治療開始時期を考える必要があります。乳歯から永久歯に生え替わるだけで空き歯が治る(歯の隙間が埋まる)ということもあります。

もも矯正歯科では、無理な矯正治療をするのではなく、患者さん個々の状態を正確に判断して、そのうえで「矯正治療をしない」という選択肢を取ることもあります。しっかりと話し合ったうえで、長く安定した歯並びにするお手伝いが出来ればと考えております。

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2015年10月 8日 木曜日

良い歯並びとは?

今日は正しい歯並びとはいったいどういったものかを説明致します。
これまで健康のすべてにつながる矯正治療の価値をお伝えしてまいりました。
また、患者さんによっては、見た目(審美)の改善は第一印象にも影響を与え、そこから自信につながり明るく日々過ごせるようになったという喜びの声も後を絶ちません。
受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)などといったすぐにわかる不正咬合(それぞれに種類がいくつかある為一概には言えませんが)だけでなく、矯正専門医が何をもとに診断しているのかをお伝えできれば、少しでも皆さんの歯並びの参考になるかと思います。


1) 全体のバランス:正面だけでなく、ななめ、横からの顔や口元のバランスをチェックします。お鼻の先とあごの先を結んだ線をEラインと呼び、唇の先がEラインに一致しているのが理想です。

2) 左右のバランス:歯並びは一見並んでいるように見えでも、上あごと下あごが水平方向にずれていないかチェックします。

3) 噛み合わせの深さ:オープンバイト(前歯が噛みあっていないで開いている)、オーバーバイト(上顎前歯が下顎前歯に被さり過ぎている)を見ます。上の歯が下の歯に3mm程度被っているのが理想です。

4) 前後関係:横から見た際に上あごと下あごの前後位置関係を確認します。外から見ただけでなく、奥歯を軸に噛み合わせの位置をチェックします。噛んだ時に上の犬歯が下の歯の犬歯とその後ろの小臼歯のちょうど間に入るのが理想です。

5) 歯の状態:虫歯、歯周病を含めて歯の状態、大きさ、色なども確認します。

6) 歯根の状態:歯茎に埋まっている部分の歯根の健康状態を確認します。

7)顎関節:あごの関節の正しい位置でかみ合わせが出来ているか、確認します。これがずれていると、顎関節症が起こる場合もあります。


これ以外にも確認するところはありますし、それぞれのチェックはより細かい診断をしていくことになりますが、ご自身でも確認できるものも含まれているかと思います。また、正面からわかりやすい点だけでなく、様々な角度から確認することで、歯並びや噛み合わせの不都合を発見することも出来ます。また子供の矯正治療の場合、現在の状態から顎の成長の予測を含めての矯正治療計画を立てていくことにもなります。


ひとえに歯並びといっても、実はこのようにチェックする項目はいくつもあります。また、それぞれの状態になった原因も様々です。矯正専門医としてはそれらを総合して診断し、治療計画を立てていきます。ぜひ一度ご自身の歯並びの状態を確認してみてください。その際に今回書いたことが一つの参考になればと思います。


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2015年9月30日 水曜日

矯正治療中に引っ越しすることになったら!?

働いておられる方やお子さまでは、転勤や進学に伴う引っ越しがあります。また、最近はブライダル矯正や就活矯正など、人生の節目に矯正治療をしようという患者さんが増えてきました。そのため、動的治療期間が終わるころに引っ越しが必要になる方というのも増えてきます。今回はそんな矯正治療期間中に引っ越しが必要になった場合はどうなるか、ご説明致します。


矯正治療は、動的治療期間であれば処置の間隔が1~2ヶ月、保定期間であれば半年毎です。当院は品川駅も羽田空港も近いですので、アクセスの良い患者さまは引っ越し後も通って頂けます。私の患者さまで上海から2ヶ月ごとに通って頂き、無事に治療を終了された方もおられました。
当院を信頼頂き、遠方より通って頂けることはとても嬉しいことなのですが、処々の事情により通院を続けるのが困難な場合もあります。
その場合は、大学のつながりや、矯正学会などのつながりから、引っ越し先の矯正専門医をご紹介し、引き続き矯正治療を受けて頂きます。
治療方法や料金など、直接先生とお話しをして円滑に転医をすすめることが可能です。


もし、私の直接ご紹介できる先生がいない場合は、その引っ越し先にある矯正専門医院で治療を継続して頂くことになりますが、この場合に重要なのが転医資料です。
聞きなれないかもしれませんが、転医資料とは、治療開始時の資料(お口の模型、顔写真、歯並びの写真、頭部X 線規格写真を含むレントゲンなど)と転医直前の資料、ならびに治療経過やお支払い頂いた治療費の内容などを記述した紹介状もしくは依頼状です。
これがないと、転医先の先生は治療前の状態や治療経過が分かりませんので、この先の治療をどうしたら良いのか大変に困ってしまいます。
ですからX線規格写真など、十分な資料をとれる医院で治療を始めることが大事です。


あとは、料金の問題があります。矯正の装置の種類は、皆さんが想像されるよりも沢山の種類があり、先生によって使用するものは様々です。ですから、転医先の先生のところでは、装置を全て付け替える可能性があります。(当院では転医の患者さまをお受けする場合、理由をご説明して付け替えをお願いしています。)
当然、装置料など新たに必要になる場合があります。
当院では、出来る限り転医の負担が小さくなるよう治療の進行度に応じて、治療費の返還もしております。
治療前にそういったこともご相談されておくことも大事かもしれません。


まずは、転居の可能性がある場合、今始めるべきかどうか、相談されることをお薦めいたします。
私個人の考えとしましては、どれだけ転医の引き継ぎをしたとしても、やはり前担当医と同じ治療、同じゴールを共有することは難しく感じます。
矯正治療は長く経過をみる必要がある治療ですので、出来ることならば、少なくとも歯を動かす治療期間は転居の可能性が少ない状況で始めて頂きたく思います。

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