スタッフブログ

2015年9月30日 水曜日

矯正治療中に引っ越しすることになったら!?

働いておられる方やお子さまでは、転勤や進学に伴う引っ越しがあります。また、最近はブライダル矯正や就活矯正など、人生の節目に矯正治療をしようという患者さんが増えてきました。そのため、動的治療期間が終わるころに引っ越しが必要になる方というのも増えてきます。今回はそんな矯正治療期間中に引っ越しが必要になった場合はどうなるか、ご説明致します。


矯正治療は、動的治療期間であれば処置の間隔が1~2ヶ月、保定期間であれば半年毎です。当院は品川駅も羽田空港も近いですので、アクセスの良い患者さまは引っ越し後も通って頂けます。私の患者さまで上海から2ヶ月ごとに通って頂き、無事に治療を終了された方もおられました。
当院を信頼頂き、遠方より通って頂けることはとても嬉しいことなのですが、処々の事情により通院を続けるのが困難な場合もあります。
その場合は、大学のつながりや、矯正学会などのつながりから、引っ越し先の矯正専門医をご紹介し、引き続き矯正治療を受けて頂きます。
治療方法や料金など、直接先生とお話しをして円滑に転医をすすめることが可能です。


もし、私の直接ご紹介できる先生がいない場合は、その引っ越し先にある矯正専門医院で治療を継続して頂くことになりますが、この場合に重要なのが転医資料です。
聞きなれないかもしれませんが、転医資料とは、治療開始時の資料(お口の模型、顔写真、歯並びの写真、頭部X 線規格写真を含むレントゲンなど)と転医直前の資料、ならびに治療経過やお支払い頂いた治療費の内容などを記述した紹介状もしくは依頼状です。
これがないと、転医先の先生は治療前の状態や治療経過が分かりませんので、この先の治療をどうしたら良いのか大変に困ってしまいます。
ですからX線規格写真など、十分な資料をとれる医院で治療を始めることが大事です。


あとは、料金の問題があります。矯正の装置の種類は、皆さんが想像されるよりも沢山の種類があり、先生によって使用するものは様々です。ですから、転医先の先生のところでは、装置を全て付け替える可能性があります。(当院では転医の患者さまをお受けする場合、理由をご説明して付け替えをお願いしています。)
当然、装置料など新たに必要になる場合があります。
当院では、出来る限り転医の負担が小さくなるよう治療の進行度に応じて、治療費の返還もしております。
治療前にそういったこともご相談されておくことも大事かもしれません。


まずは、転居の可能性がある場合、今始めるべきかどうか、相談されることをお薦めいたします。
私個人の考えとしましては、どれだけ転医の引き継ぎをしたとしても、やはり前担当医と同じ治療、同じゴールを共有することは難しく感じます。
矯正治療は長く経過をみる必要がある治療ですので、出来ることならば、少なくとも歯を動かす治療期間は転居の可能性が少ない状況で始めて頂きたく思います。

投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL

2015年9月24日 木曜日

歯並びを不正咬合にしない為に出来ること

これまで様々な不正咬合についてお伝えしてきました。上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、しゃくれ)や叢生(デコボコ、八重歯など)についても種類があり、原因はそれぞれあります。遺伝的な原因から来る場合と、生活環境によるものなど、患者さんそれぞれ違います。

今回は遺伝的な不正咬合ではなく、環境からくる不正咬合に対して、できる限り不正咬合にならないために出来ることを少しお話したいと思います。


すぐにでも出来ることは、日々のブラッシングを丁寧にするということです。当たり前に大切なことですが、虫歯や歯周病が意外に歯並びに大きく影響します。


まずは、子供の歯の時の虫歯です。どうせ大人の歯に代わるから問題なし、なんてお考えの方も少なくないのではないでしょうか?
乳歯が虫歯になると、歯が溶けた分、乳歯の幅は小さくなります。大人の歯は、乳歯の大きさに合わせて生えてきます。したがって、虫歯になると大人の歯の生えるスペースが少なくなってしまい、結果、でこぼこになってしまいます。
これは矯正医は本当に良く目にするケースで、注意が必要です。


大人の歯の場合は、虫歯によって抜歯されたまま放置すると、そこに出来たスペースに隣の歯が倒れこんでしまうことで歯並びが悪化します。自分はすぐに歯医者に行くから、と他人事のように思いますが、実際には、ブリッジにするかインプラントにするか、考えている間に放置に至ってしまうことも少なくありません。
さらに奥歯に歯周病が出来た場合は問題が大きくなります。例えば奥歯が歯周病になってしまうことで、本来食べ物をすり潰すという機能が100%できなくなります。そのためすり潰す機能の補佐を前歯部で行うことになります。前歯で必要以上に噛みこむことで下の前歯が上の前歯を押し出してしまい、出っ歯やすきっ歯になってしまうこともあります。
ご高齢の方に良く見られます。



虫歯や歯周病は歯並びに対しても様々な弊害につながる為、正しいクリーニング、ブラッシングはとても大切になってきます。今すぐ子供でも誰でも出来る不正咬合の可能性を下げることの一つとして、日々のブラッシングをいつも以上に丁寧にしてみてください。そして万が一虫歯になってしまった場合は、早い段階で歯医者さんに行き、治療をするようにしましょう。

投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL

2015年9月16日 水曜日

「予防」としての矯正治療

今回は虫歯や歯周病予防の観点から矯正治療の価値について考えていきたいと思います。

8020運動に関して以前コラムを書きましたが、8020運動と虫歯、歯周病予防の関係についてです。


おさらいになりますが、8020運動というのは歯科医師会と厚生労働省が1989年より提唱し始めたもので、自分の歯を最低20本は80歳まで残そうという運動です。自分の歯が20本残っていれば、食事にも支障なく、食事を楽しめるということから始まったものです。


実はこの8020運動が始まった当初は、20本自分の歯を残すことに成功している80歳以上の方の割合がたったの8.2%しかいなかったそうです。10人に1人もいないという数字にびっくりしました。20本ないだけでなく、調査対象者を調べてみると平均残存歯数はたったの4.5本。4.5本ということは上下それぞれ2,3本ずつしかないということになりますから、ほぼ自分の歯でものを噛むことはできないですよね。

では8020運動が始まり、少しずつ浸透してきたなかでどこまで改善されてきたかというと、8020運動達成者は38.3%まできたという発表がありました。かなり大きな前進ではないでしょうか。

更に東京医科歯科大学がこの8020運動達成者を対象に調査したところ、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)などの著しい不正咬合のある方はほとんどいないという結果がでたそうです。


この25年ほどの間に歯ブラシや歯磨き粉の改善なども進みましたし、ブラッシングの指導や情報も広がってきていると思います。そのため一概に何が影響して残存歯が多くなったのかを特定することは難しいかもしれません。しかし、きれいな歯並びは、ブラッシングが隅々まで丁寧に出来ることで虫歯や歯周病を防ぐことにつながっているということは十分に考えられることです。

矯正歯科治療はこれまで審美的な理由から考えられることが多かったと思います。見た目の改善はとても大切なことです。しかし同時に最近ではこういった予防の観点や、受け口、出っ歯など咀嚼の機能に関する観点など、より広い意味での「健康」「予防」という視点で矯正治療を受けられる方が増えてきている気がします。


今回の調査結果、実際残存歯が多いという事実は、とても参考になるデータかと思います。1本でも多く自分の歯を残して生涯食事を楽しめる状態でいたいですよね。

投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL