スタッフブログ

2017年2月 2日 木曜日

咬み合わせと健康について

矯正治療を受けられる患者さんの要望は様々です。ほぼすべての患者さんに共通しているのが、見た目の改善だと思います。しかし、最近は健康を考えて矯正治療をされる方がどんどん増えてきていると感じます。

そこで今回は歯並びと健康の関係について書こうと思います。


まず歯並び、噛み合せが悪いことで起こり得る健康への影響についてです。
一例を挙げると、関節円板へのダメージが考えられます。間接円板とは頭蓋骨と下顎骨の関節の間にあり、スムーズに動くためのクッションの役割をしている部分です。不正咬合のまま食事を続けることでこの関節円板が損傷したり、位置がずれてしまうことがあります。それを続けていくと顎関節に痛みを伴うようになったり、口が開かないなどの症状が起こります。また、さらには、顎関節のバランスがおかしくなることで筋肉のバランスが壊れ、肩こりや頭痛へとつながることもあります。


こういった健康への不都合につながる噛み合わせに関してご自身でチェックするポイントがあります。

・叢生(乱ぐい歯、デコボコ、八重歯)
・上顎前突(出っ歯)、下顎前突(しゃくれ、反対咬合、受け口)
・交叉咬合(あごが横に曲がっている)
・オープンバイト(開咬)、ディープバイト(過蓋咬合)
・歯が抜けている(抜歯、欠損歯)

まずわかりやすいのは不正咬合です。これらに関してはわざわざ書くこともないかもしれませんが、どんな不正咬合であっても正常に咀嚼するということが出来ず、筋肉のバランスが壊れてしまう可能性があります。

こういったわかりやすい不正咬合とは別な視点で大切なポイントがあります。

・左右どちらか偏って噛む癖がある(噛み癖)
・やわらかいものばかり食べる


「よく噛んで食べるとよい」という話は誰でも聞いたことがあると思います。消化吸収の観点からも大切なポイントですが、普段食べ物を噛む際に、「どの歯で噛んでいるか?」を意識されている方はあまり多くないのではないでしょうか。


矯正治療をすることで、噛み癖が改善されたという場合も多々あります。毎日の小さな習慣から健康までつながるということを考えたときに、少しご自身の「噛む位置」を考えてみても良いかもしれません。見た目の改善だけでなく、健康まで考えて歯列矯正治療を提供していければと思っています。


投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL

2017年1月20日 金曜日

成人矯正が増えてきている

最近街を歩いていると矯正をされている成人の方をよく見ます。見えない裏側矯正(舌側矯正、リンガル)やインビザラインのようなマウスピース矯正を含めると実際はもっとたくさんいらっしゃるかもしれません。

ということで、今日は成人の方の矯正治療が実際増えてきているという内容になります。

以前も何度かご紹介しました日本臨床矯正歯科医会という矯正専門医による学会が発表したアンケート内容で、少し前のデータになりますが、傾向がわかるものなのでご紹介したいと思います。


■小児矯正(18歳未満)と成人(18歳以上)の割合

・1998年
18歳未満:75%
18歳以上:25%

・2003年
18歳未満:68%
18歳以上:32%

全国の調査結果のため、東京近郊では、より成人が多いと思います。東京や神奈川などは舌側矯正などをやられている矯正専門医院も多く、成人の矯正を希望される患者さんに応えられる医院さんが増えているからです。


■成人の矯正患者男女の割合

・1998年
男性:20%
女性:80%

・2003年
男性:26%
女性:74%

成人の患者さんの男女比を見てみると、男性の矯正患者さんが少しだけ増えてきているのがわかります。これも大森含めて東京近郊はもう少し男性も多い気がします。特に品川近辺だとビジネス上の見た目や英語で仕事されている方の発音の問題などから男性も多く矯正治療を受けられているようです。


■成人患者の年齢層と男女比(2003年)

・18歳~39歳:90%(男性27%/女性73%)
・40歳~59歳:9%(男性13%/女性87%)
・60歳以上:1%(男性28%/女性72%)

最後に成人の患者さんの中で見てみると、40歳以上の方が10%いるというデータになっています。基本的に口腔内が健康な状態であれば年齢関係なく矯正治療は受けられること、そして先に書いたように舌側矯正などが発展してきた経緯もあり、だんだん年配の方が矯正治療に前向きになってきているのではないでしょうか。


もっと最近のデータがあればご紹介したいのですが、傾向としては成人の患者さんが増えてきているのは間違いないと思います。顎の成長など考えて小児のうちに上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口、しゃくれ)などの治療をするメリットもありますが、大人になってからでも十分治療は行えます。お仕事の都合なども考慮に入れて安心して矯正治療を提供できるよう考えていますので、気になることがあればいつでも相談頂ければと思います。


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2016年8月 3日 水曜日

智歯(親知らず)について

今日は智歯(親知らず)について書いてみようと思います。


親知らずはみなさんご存知ですよね。実際生えている人もいれば、最近では歯茎に埋まったままで出てきていないという方も多くいらっしゃいます。

この親知らずのことを正式には「智歯(ちし)」あるいは「第三大臼歯」と呼びます。この親知らずに関する歯並びへの影響は矯正専門医の間でも様々な意見があり、抜くべきかどうかという判断はとても難しいです。

しっかりと診断したうえで残すべきか抜歯すべきかを慎重に判断しますが、抜く可能性が高いのは以下の通りです。

①炎症や齲蝕(虫歯)の原因になる場合

親知らずも他の歯と同様、正常であればまっすぐに生えてくるものです。しかし食生活の変化などから現代人は顎が小さくなってきていて、親知らずが正常に生えるスペースがないことで問題が起きてきます。横を向いていたり、斜めに生えてくるという方が多いのはこのためです。大臼歯などの奥歯はただでさえ食べ物が残りやすいのですが、斜めや横向きに親知らずが生えてきた場合は更に歯ブラシが届かずに炎症や虫歯の原因になってしまいます。


②第二大臼歯の遠心(後方)移動が必要な場合

矯正治療において綺麗に歯を並べるためのスペースを確保する必要がある場合というのは大変多く、そのスペースを確保する際に第二大臼歯を後方へ移動するという治療が必要になる場合があります。叢生(乱ぐい歯、八重歯)などはこのスペースがないことでデコボコになっているため、抜歯してスペースを作ることもできますし、このように第二大臼歯を後方移動することでスペースを確保する場合もあります。第二大臼歯を後方へ移動する場合、第三大臼歯に当たる親知らずが邪魔になってしまうことがあり、抜歯するという可能性がでます。


親知らずが歯並びを悪くする原因になっているというケースももちろんありますが、必ずしもそうとも限らないという意見もあります。大切なのは親知らずは抜歯するものと決めつけるのではなく、やはりしっかりと診断をしたうえで判断することだと思っています。できる限り非抜歯の治療をするためにも正確に診断、治療を提供していければと思っております。 


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2016年7月 8日 金曜日

産経ニュースより 小児矯正に関する注意

回は少し前に産経ニュースに掲載されていた内容からコラムを書きます。私にとって大変衝撃的な内容で、子供の歯列矯正において転院相談の56%が不適切な矯正治療を受けていた、というものです。

これまでいくつも矯正治療に関する調査結果を発表してきた日本臨床矯正歯科医会ですが、今回の産経ニュースに提供していた小児矯正に関するデータは、1年間に矯正専門医に転院相談に来た方517名のうち、288名もの方が不適切な矯正治療を受けていたというものです。

転院相談というのは、矯正治療を受けていたが、なかなか治らずにこのままで大丈夫かということでセカンドオピニオンを求める場合、矯正専門医への転院希望相談などです。中には7年以上通っても歯列改善がなかったり、小学生にもなっていない状態から治療開始されていたりと矯正専門医としては信じられない報告があったという内容です。産経ニュースでいう「不適切」というのは様々な状態が含まれますが、多くの不適切治療を受けていた患者さんは頭部エックス線検査もなく、ブラケット(矯正装置)を付けられて治療を開始していたようで、ほとんどが矯正専門医ではない歯科医院での治療だったということです。


矯正専門医が必ず正しいということはもちろんありませんし、一般歯科医の先生でも矯正専門医と同じように矯正に関して勉強をされ、経験を積まれている方もいます。

そのため、今回のポイントというのは、しっかりとした診断を受けて矯正治療を始めているのか?ということだと思います。これまでもいくつか情報提供をしてきていますが、不正咬合には様々な種類と、それぞれの原因がまた分かれています。ひとえに「出っ歯」といっても上顎前歯が出ている上顎前突もあれば、下顎列成長による上顎前突もあります。原因によって、使用する装置や治療期間は変わってきます。
また、叢生(デコボコ、乱ぐい歯)があったとしても常に非抜歯の治療が最良なわけではありません。歯の収まる歯ぐきの骨の大きさ、治療の予後の安定性や顔貌のバランスなどから抜歯が必要な場合もあります。
これらの見極め・診断には、矯正治療の専門的な知識と多くの治療経験が不可欠です。


この記事では専門知識、専門技術がある医院で治療を受けてほしいと書かれていました。患者さまには治療前のしっかりとした診断を行っているかという視点をもって病院を探して頂ければと思います。




投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL

2016年7月 1日 金曜日

歯並びに自信がない?

今日は歯列矯正、歯並びに関する調査結果を見つけたのでご紹介します。日本臨床矯正歯科医会が行った動向調査結果で、今回も1000人の方を対象にしたものです。


Q1. 歯並び、噛み合せに自信がありますか?

・22.0%:当てはまらない(歯並びに自信がない)
・24.2%:やや当てはまらない(歯並びにあまり自信がない)


Q2. 歯を見せて笑うことに抵抗がありますか?

・8.1%:抵抗がある
・17.8%:やや抵抗がある


約半分の46.2%の方が歯並び、もしくは噛み合せに自信がなく、25.9%の方が笑顔を気にされていることがわかりました。みなさんはいかがでしょうか?

以前朝日デジタルが行った調査では身体の部位で一番コンプレックスを感じるのは?という問いに対して、歯が一番だったという記事もありました。

これだけ多くの方が歯並びに対して意識があるのに、いざ矯正治療を受けたいか?という質問に対しては海外と比較しても日本人は約半分ほどしかYESと答えなかったというデータもあります。(日本54.2%・上海85.3%・ニューヨーク:79.3%)


重度の不正咬合、例えば上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、反対咬合、しゃくれ)や交叉咬合などの場合は、発音や咀嚼など見た目以外の問題もたくさんある為、矯正治療を受けられる率は高い気がしますが、叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)などに関してはまだまだかもしれません。

患者さんに矯正治療を受ける決断をする前の状況や懸念事項を聞いてみると、やはりブラケット(矯正装置)が目立つのではないか、痛みがあるのではないか、治療期間がとても長くなるのではないか、費用がとても高いのではないか、ということを心配していたという答えが返ってきます。

スピード矯正、インプラント矯正、見えない裏側矯正(舌側矯正、リンガル)やアライナー矯正(インビザラインなど)の矯正材料の向上、矯正医の技術向上により、一昔前の問題はだいぶ解決されてきています。一つ一つの疑問にきっちりと向き合い、安心して歯列矯正治療が受けられるよう、これからも情報を提供していきたいと思います。


投稿者 もも矯正歯科 | 記事URL